10月31日のハロウィンが終わった翌日の11月からクリスマスの装飾が施されて、あらゆるところでクリスマスツリーを見かけますが、クリスマスツリーはどのように生まれて、日本においてはいつからどんなきっかけで飾られるようになったのかをご紹介します。
【目次】
クリスマスツリーの由来
クリスマスツリーの起源については、古代のヨーロッパに遡るようです。古代ヨーロッパに住んでいたゲルマン民族は、生命力の強い樫の木(かしのき)を信仰の対象にしていました。「ユール」という冬至の祭では、樫の木を飾り、焚き火を囲みながら飲食を楽しんだそうです。その後、この民族がキリスト教に改宗することになり、信仰の対象を樫の木から樅の木(もみのき)に変えることになり、キリスト誕生を祝うお祭りと混ざり合っていきました。
どうして信仰の対象を樅の木にしたのかですが、樅の木が三角形であり、キリスト教の教えの一つである、「父と子と精霊」の三位一体を表したからと言われています。頂点に当たる部分が父なる神、底辺が子と精霊となるとしています。もう一つの説としては、ドイツでは樅の木に妖精が住んでいると信じられています。その妖精にずっと樅の木に住んでいてもらうために飾りつけをしてお祭りをしたという伝承もあります。
記録上に残された最初のクリスマスツリーは、1419年(応永26年、室町時代)に、ドイツのフライブルクで、パン職人の組合が救貧院で木の枝にお菓子、果物、木の実などを飾り、新年に子供たちが木を揺らして落とし、それらを頂いたとされています。これが、世界でクリスマスツリーを飾る行為の最初とされています。
それから、約100年後の16世紀、ドイツの神学者であるマルチン・ルターが、クリスマスイブ礼拝の帰り道、森の中で常緑樹の枝の合間に輝く無数の星を目にし、その美しさに心を打たれたルターは、それを子供たちのために再現しようとして、家の中に木を持ち込み、火を灯したろうそくを枝にくくりつけたそうです。それから、ドイツではクリスマスツリーが一般的になり、次第に色々なオーナメントが飾り付けられるようになったとされます。
アメリカでは、1746年(延享3年、江戸時代)に、ドイツからの移民たちによってクリスマスツリーが初めて飾られたとされています。
イギリスでは、1841年(天保12年、江戸時代)に、ビクトリア女王がウィンザー宮でクリスマスツリーを飾り付けたのが始まりとされています。
以上がクリスマスツリーの由来でした。簡単にまとめると、古代のヨーロッパで、ゲルマン民族が元々信仰していた樫の木が、キリスト教への改宗によって、信仰の対象が樅の木に変わっていった。1400年代にドイツのパン職人組合の人達が福祉施設において、木の枝にお菓子、果物、木の実などを吊り下げたこと。1500年代にドイツのルターがクリスマスに木の枝にロウソクをくくりつけた。この3つが影響をして、今のクリスマスツリーがあるということでしょう。いずれにしても、クリスマスツリーの起源はドイツにあるのでしょうね。
日本のクリスマスツリーの歴史
日本で最初のクリスマスツリーは、1886年(明治19年)12月7日に、横浜で総合輸入商で雑貨などの販売を行っていた明治屋さんが、外国人船員のために日本でもクリスマスツリーが楽しめるように飾ったのが初めとされています。これを発案されたのは明治屋さんの創業者である磯野計(いそのはかる)さんです。その後、1900年に東京銀座へ進出すると、銀座でクリスマス飾りが広く行われるようになり、同じ頃に神戸でクリスマス用品の生産が始まり、日本においてクリスマスツリーの飾りつけが広まっていったようです。
まとめ
クリスマスツリーの由来と日本においてのクリスマスツリーの歴史を紹介しました。クリスマスといえばサンタクロース、サンタクロースといえば北欧、こんなイメージでクリスマスツリーも北欧に起源があると思っていましたが、実はドイツに起源があったのですね。ちなみにクリスマスツリーに飾りつけされるオーナメントの意味がちゃんとあるのはご存知ですか。以下、簡単に紹介しておきます。では、良いクリスマスを。
オーナメントの意味
カラフルボール
赤→キリストが流した血の色
白→純潔
緑→永遠
金と銀→キリストの気高さや高貴さ
トップスター
遠方の賢者をキリストが生まれたベツレヘムまで導いた、ときの星を表現しています。
天使
クリスマスツリーには星の代わりに天使もよく飾られます。
ベル
キリストの誕生を知らせたベルを表現しています。
キャンディー
杖の形をしたキャンディで、「キャンディー・ケーン」といいます。迷える子羊を導く羊飼いの杖上下を逆さまにするとイエス(Jesus)の頭文字であるJの形になります。
ヒイラギ
キリストは、十字架につけられる前にいばらの冠をかぶらされました。
ヒイラギの葉は、そのいばらの冠の象徴です。