日本の伝統芸能の1つである歌舞伎からは、私達が日常に使っている言葉がたくさん生まれているのはご存知でしょうか。代表的なものをピックアップして、ご紹介させて頂きます。
【目次】
大詰(おおづめ)
「そろそろ、試合も大詰めの段階に入りました」などと使う“大詰”。この言葉は、歌舞伎の脚本のまさに最後のクライマックスの場面を指します。ただし、江戸時代の興行が1日1本という方法だった頃、1番目と2番目と分けて上演していましたが、1番目の最終幕を大詰、2番目の最終幕を大切(おおぎり)と呼んでいました。これが崩れて、最終幕をすべて大詰というようになったそうです。
切り(きり)
「これ以上、議論してもきりがない」などと使う“切り”。「これっきり」などと同様、「終わり」「最後」という意味です。芝居の最終幕を「大切(おおぎり)」と呼ぶこともあります。
ドロン
「犯人がドロンした」などと使う“ドロン”。悪事・犯罪などが起きた時、その首謀者が姿をくらます際に用いられることが多いですが、歌舞伎では主に人間以外モノが「ドロン」します。例えば、妖怪などが消える際、どろんどろんと効果音の太鼓が鳴ります。歌舞伎で幽霊などが出るときには、「ひゅーどろどろ」などと効果音が鳴りますね。そこから「ドロン」という言葉が出たそうです。
花道(はなみち)
「花道をかざる」などと使う“花道”。主たる役者が客席の間の花道を堂々と、美しく、華やかに登場、あるいは引込む道を指しました。相撲でも、力士が出入りする道として使われる言葉ですね。
ドンデン返し
「ここで大どんでん返しの展開になる」などと使う“ドンデン返し”。歌舞伎では大道具が大きく替わるとき、「どんでん」と太鼓がたたかれます。鳴っている間にみるみる舞台が大きくひっくり返ったり、廻ったりしました。転じて、物事が急に逆転する意味に使われるようになったそうです。
十八番(じゅうはちばん)
「この歌は、私の十八番(おはこ)です」などと使う“十八番”。歌舞伎では、市川團十郎家の家の芸を「歌舞伎十八番」と言いました。これが転じて、得意な芸、得意芸、得意技という意味で使われるようになったそうです。「おはこ」と言われることもありますが、歌舞伎では「おはこ」とは読まないそうです。
差し金(さしがね)
「どうやら、この事件はあいつの差し金らしいぞ」などと使う“差し金”。歌舞伎では、主に小動物を動かす際に用いる棒を指します。棒の先に、蝶や鳥など生き物の道具をつけた長い棒を、黒衣によって、ひらひらとしなうように動かす様から転じて、裏で糸を引く「入れ知恵をする」的な言葉としても使われるようになったそうです。
千両役者(せんりょうやくしゃ)
「○○選手は、このチームの千両役者となりました」などと使う“千両役者”。江戸時代において、歌舞伎では人気役者、名優たちは千両もの給金・契約金を座元と契約していたようで、一座の中心たる優れた役者、あるいは、その場の中心として華やかに且つ重要な役割を担う人を指して使うようになりました。
まとめ
以上、8つを紹介させて頂きましたが、歌舞伎から生まれた言葉はまだまだ数多くあります。是非、一度調べてみて下さい。面白い発見があると思いますよ。