「敬老の日」が何故できたのかをご存知でしょうか。なんと、今から約1300年前の出来事が関係しているようです。
今回は「敬老の日」にまつわるお話しをしたいと思います。
【目次】
1.いつの日のこと?
敬老の日=9月の第3月曜日
2002年(平成14年)までは9月15日を敬老の日としていましたが、2001年(平成13年)の祝日法改正(ハッピーマンデー制度の実施)によって、2003年(平成15年)からは9月第3月曜日となりました。
2.趣旨は?
多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。
2.いつ制定されたの?
1966年(昭和41年)
4.歴史
きっかけは?
1947年(昭和22年)9月15日に兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町八千代区)で、当時の村長であった門脇政夫さんが、「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」という趣旨から、村主催の「敬老会」を開催したのが「敬老の日」の始まりであるとされています。
門脇村長が「養老の滝」伝説をヒントに、 戦争で子供を亡くした親たちに報い、知識や人生経験を 伝授してもらう為に「敬老会」を開催したと言われています。
「養老の滝」伝説とは?
岐阜県の有名な滝「養老の滝」には、親孝行にまつわる伝説が残っています。
鎌倉時代に編纂された「古今著聞集」や「十訓抄」に、滝の水がお酒になったという親孝行の伝説「養老孝子伝説」が記載されています。
〜養老孝子伝説〜
元正天皇の頃(約1300年前)、美濃の国(現在の岐阜県)の多度山麓に源丞内という貧しい樵(きこり)老父と一緒に暮らしていました。
貧乏で毎日の食べる物にも不自由する暮らしでしたが、年取った父親のために一生懸命働いていました。その父親は何よりもお酒が好きでしたが、ろくに稼げないので、お酒などめったに手に入れる事は出来ません。
ある日、源丞内がいつものように山に入って薪を取っていると、苔の生えた岩に足を滑らせて沢へ落ちてしまいました。しばらく気を失っていましたが、ふと起き上がると、どこからかお酒の匂いがします。辺りを見回すと、近くの岩間の泉から山吹色の水が湧き出ているのを見つけました。源丞内が水をすくってなめてみると、なんとそれはまぎれもないお酒だったのです。源丞内は「あら、ありがたや、天から授かったこの酒」と大喜びしながら、腰に下げた瓢箪に泉の水をいれて、大急ぎで家に帰りました。
家に着いた源丞内は、直ぐに父親に泉の水を飲ませます。父親は一口飲んでは驚き、二口飲んで額を叩き、三口飲んでは手を打って大喜びしました。それからというもの、源丞内は毎日のように泉の水を汲みに行くようになりました。
この出来事は村じゅうの評判となり、ついには時の帝・元正天皇の耳にまで入ることになります。
ついに霊亀3年(717年)の9月、元正天皇はこの地へ行幸され、その泉をご覧になりました。
「これもひとえに親孝行の思いが、天地の神々に通じたのでしょう。」と、源丞内をほめ讃え、美濃国守に任命されました。
そして、「老人を養う」ことから、この泉は「養老の滝」と名付けられ、同年11月にはこのめでたい年を記念して、年号が養老に改められました。
どうして9月15日なの?
門脇村長が「敬老会」を9月15日に開催した理由ですが、9月中旬という時期が気候的に過ごしやすく、農閑期で時間に余裕があることなどの理由で決められたようです。また、「非田院建立の日」にちなんだとも言われています。その「悲田院建立の日」が9月15日でした。
「悲田院建立の日」とは?
推古天皇元年である593年に、聖徳太子が大坂に四天王寺を建立した際、四箇院の制をとりました。四箇院の制とは、今でいう寺院、薬局、病院、老人ホームをひとかたまりのシステム化したような社会福祉事業でした。その中でも老人ホームの役割を果たしていたとされる非田院が建立されたのが9月15日だったそうです。
制定されるまでの流れ
1948年(昭和23年)9月15日、門脇村長は第2回「敬老会」において、9月15日を「としよりの日」として村独自の祝日とすることを提唱されました。更に、門脇村長は県内市町村にも祝日制定を働き掛け、その趣旨への賛同が広がり、1950年(昭和25年)からは兵庫県が「としよりの日」を制定、1951年(昭和26年)には中央社会福祉協議会(現在の全国社会福祉協議会)が9月15日を「としよりの日」と定め、9月15日から21日までの1週間を運動週間としました。
そして、1963年(昭和38年)に制定された老人福祉法で、9月15日が「老人の日」、9月15日から21日までが「老人週間」として定められ、更に1966年(昭和41年)に国民の祝日に関する法律が改正されて国民の祝日として「敬老の日」が制定され、老人福祉法でも「老人の日」が「敬老の日」に改められることになりました。
4.誰が対象?何歳から?
あるアンケートによると20~40代の世代の半数以上は「敬老の日は60才以上の方をお祝いするもの」とし、60才以降の方は「70才以上が敬老の日の対象年齢である」と考えているようです。
また、世界保健機構(WHO)や日本の老人福祉法では、65才以上の方を高齢者の対象としています。
従って、決められた基準は無いようですね。
6.まとめ
いかがでしたか?「敬老の日」のことについて少しは学んで頂けましたでしょうか。
そういえば、9月15日は中秋の名月の日でもありますね。門脇村長もひょっとしたら、キレイなお月さんを見ながら敬老会を開きたかったのかもわかりませんね。自分より年配の方を敬う気持ちを持ち続けたいものですね。